COMPANY会社案内

出会い・感動インタビュー

プラススパイラルの構築へ向けて―「体脂肪計タニタの社員食堂」は累計482万部のベストセラーに。

社員食堂のメニューを、レシピ本として出版するに至ったきっかけは。タニタでは「食事と運動と休養」を、健康のサイクルと位置づけています。これを適切なサイクルで回していくことで、健康的なカラダづくりができるということです。こうした考え方に基づいて、本社にある社員食堂でも1定食あたりエネルギー量は500kcal前後に抑え、野菜が豊富で塩分は控えめのヘルシーでバランスのとれたメニューを提供していました。この社員食堂のメニューが、NHKの番組「サラリーマンNEO」の「世界の社食から」というコーナーに取り上げられました。テレビ放映は2009年(平成21年)の4月のことです。テレビを見た大和書房からオファーがあり、「体脂肪計タニタの社員食堂」というレシピ本を発売することになったのです。制作には半年ぐらいかかり、ようやく完成。初版はわずか12,000部で、2010年(平成22年)の1月に発売しました。誰も、それほど売れるとは考えてもいませんでした。ところが「ちょっと面白い本がある」ということで、じわじわと売れ始めたのです。5万部、10万部と。まず一般紙や雑誌から火がつき、今度は「その食堂で食べてみたい」とテレビや新聞の取材が入る。報道・放映されると、また本の売上げが伸びていくというプラスのスパイラルです。発売した年の11月には100万部を超え、レシピ本の続編も発売されました。

―取材され、報道されることで、さらに話題を呼び込む。
その好循環を構築することも、広報の大切な役割であるとお考えですか。

そう考えています。こんなエピソードもあります。本社のリニューアル工事に伴い、社員食堂も半年間休業したのですが、それでも取材要望が多数寄せられました。このため広報室ではその年の年末に、50社以上を招待した体験会を企画・実施しました。丸の内のホールの一角に社員食堂を移設したようなセットを作 り、同じメニューを実際に食べていただきました。私たちは本当に感謝の意味で開催したのですが、この様子も報道されてしまいびっくりしました。翌年もブームはさらに広がり、私たちも連日メディアの取材を受けました。2011年7月には遂に200万部を突破。これはTBSの「金スマ」で3回取り上げられ、特に3回目の「鈴木おさむ・大島美幸夫妻のタニタ定食1ヵ月生活」の影響が大きかったのではと考えています。何しろ放映の翌日、書店からもAmazonからも一斉に本が消えてしまったほどです。結局、現在までに「体脂肪計タニタの社員食堂」はシリーズ累計で482万部という驚異的なベストセラーとなりました。今年2012年1月には、「丸の内タニタ食堂」がオープンしました。この店はもちろん、レシピ本を購入された読者からの「社員以外でも食べられる場所を提 供してほしい」というニーズに応えたものです。おかげさまでオープン以来、連日多くのお客さまにご来店いただいておりますが、現在でも朝の8時半から整理 券を配るという状態が続いており、ご迷惑をおかけしています。

日本を、世界を健康にしたい―レシピ本の大ヒットによって、
タニタさんの社内(社員の方々)には具体的にどのような変化が起こったのか教えてください。

まずは、会社の知名度が飛躍的に向上しました。社外の人から「ああ、あのタニタにお勤めですか」と言われて気持ちがいい、と話す社員が増えています。営業 担当からは「以前よりも、はるかに話がしやすくなった」と言われました。それから健康志向は全世界共通ですので、海外担当の部署からは「早くレシピ本の翻 訳版を作ってほしい」との注文が入ってきています。技術者たちには常に新しいものをつくっていく気概(=タニタのDNA)があり、他社にはない優れた商品を数多く生み出しています。これらの商品を適切なマーケティング手法によってより広く世間に知らしめていくことが、私たち広報の役割であると考えています。その典型例として、総消費カロリーが計れる「カロリズム」という商品があります。いま3世代目で、初代のときは、いったい自分が1日どれだけカロリーを消 費しているのか知りませんでした。そこで「自分で体をマネジメントできる」ことを訴求し、ターゲット層の40代以上のビジネスマンに受け入れられました。2代目は年齢層を下げて、さらに小さくスマートに。「携帯音楽プレーヤーのようにスタイリッシュ」にというコンセプトで、高級感を演出した記者発表を行い ブレイクしました。3代目はF1層(20~34歳の女性層)にアプローチ。発表会では携帯型美容家電、いわゆる「モバ美」のマストアイテムをテーマに、業界では異例ともいえるファッションとのコーディネートを演出した仕掛けを行い大きな注目を集めました。

―PRにとって、“ファッション”は大切なキーワードだということですね。
最後に、タニタさんの今後のビジョンやメッセージをお聞かせください。

現在のところ「丸の内タニタ食堂」の多店舗展開は考えていません。しかし「健康的な食事を摂ってもらう場を、もっと広めたい」との視点から、今年4月に 「丸の内タニタ食堂」の特製ランチボックスを三越銀座店で発売しました。1週間限定でしたが、それまでの同店の1日の弁当の販売記録100食を初日に抜き 去り、900食を達成。おかげさまで、7日間で6,000食を売り切りました。また、広報室では「ヘルス・ツーリズム」を具現化した旅行パックの企画も進めています。休暇村協会、読売旅行と連携し、まず「休暇村能登千里浜」で実施し ます。1泊2日でタニタが掲げている「食と運動と休養」のすべてを体感できる旅行プランです。この取り組みを皮切りに、目的地も全国各地へと広げていく予 定です。さらに、講談社とともに「日本の女性の美と健康に関する新プロジェクト」も推進しています。その第一弾として、予防医療コンサルタントの細川モモさんとの共著で「タニタとつくる美人の習慣」を刊行。この取り組みは、WEBサイトの開設やスマートフォン用アプリの開発へと拡大していきます。弊社の社長もよく話している「日本を健康にしたい、世界を健康にしたい」というフレーズは、実はタニタの企業メッセージでもあります。今後も広報室では、 そのメッセージに即した的確な広報戦略およびPR活動を担い、新たなマーケットを創造し活性化していきたいと考えています。

PAGE TOP